主婦(主夫)の休業損害とは
主婦(主夫)の休業損害とは、交通事故のケガによって家事労働ができなくなったことに対する賠償です。
家事労働は給与が支払われるものではありませんが、プロの家事代行に依頼すれば当然に費用が発生するように、経済的な価値を持つ労働です。そのため、事故で家事ができなくなった期間・程度に応じて、休業損害が認められています。これは主夫の方でも同様です。
ポイント
パートをしている兼業主婦(主夫)の方は、「パート収入を基準にした計算」と「後述の賃金センサスを基準にした計算」のうち、通常は高い方を基礎に請求できます。パート収入が少ないからと諦める必要はありません。
基礎収入 — 賃金センサスの女性平均賃金を使います
主婦(主夫)の休業損害は、原則として「賃金センサス」(厚生労働省の賃金構造基本統計調査)の女性労働者・学歴計の全年齢平均給与額(または年齢別平均給与額)を基礎収入として計算します。参照するのは事故前年(または直近公表分)の賃金センサスです。
直近の令和6年賃金センサスでは、女性労働者・学歴計の全年齢平均年収は419万4,400円(月額29万3,900円×12+年間賞与等66万7,600円)で、1日あたりに換算すると約1万1,492円になります。平均賃金は年によって変動するため(令和5年は399万6,500円)、示談・訴訟の際は常に最新の統計を確認する必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基礎収入 | 事故前年(または直近)の賃金センサス・女性平均賃金 (令和6年 419万4,400円 ≒ 日額約1万1,492円) |
| 休業日数 | 通院日数ベース、または期間×支障率ベースで算定(次章参照) |
| 休業損害 | 日額 × 休業日数として計算 |
休業日数のカウント方法 — 2つの考え方
「何日分の休業が認められるか」の計算方法はひとつではなく、主に2つの考え方があります。
① 実通院日数を基準にする方法
実際に病院へ通院した日数分を休業日とみる、シンプルな方法です。たとえば通院30日なら約30万円となります。ただし、通院していない日にも痛みで家事に支障は出ているはずですから、通院日数が少ない方には不利益な結果となりやすい方法です。
② 期間ごとに支障率を段階的に見る方法
治療期間を段階に分け、家事労働への支障の程度を段階的に評価する方法です。たとえば治療期間6か月の場合、最初の2か月は支障率80%、次の2か月は50%、最後の2か月は20%として計算します。実態に即した方法ですが、支障の程度を裏付ける主張・立証が重要になります。
ポイント
どちらの方法が有利かは、通院頻度・症状・家族構成などによって異なります。診断書などの証拠を踏まえて、最も適切な計算方法を選択して主張することが、適正な休業損害につながります。
請求に必要な資料
主婦(主夫)として休業損害を請求するには、家事に従事していることを示す資料として、通常は世帯全員の住民票を提出します。専業であることの確認のため、非課税証明書の提出を求められることもあります(主夫の場合も同様です)。あわせて、症状と家事への支障を裏付ける診断書・通院記録が重要な資料になります。
解決事例 — 計100日以上の休業損害が認められたケース
当事務所の解決事例
通院日数が非常に多い主婦の方の事案で、相手方保険会社に対し、診断書などをもとに家事労働へ多大な支障があったことを丁寧に説明した結果、計100日以上の休業損害が認められました。
※事案の内容によって結果は異なります。同様の結果を保証するものではありません。
ご注意: この記事の金額・計算方法は一般的な解説であり、実際に認められる休業損害は症状・通院状況・家族構成など個別の事情によって異なります。具体的なご事情については、弁護士にご相談ください。
主婦(主夫)の休業損害についてよくある質問
Q. 保険会社から休業損害の話が一度も出ていません
保険会社によっては、被害者側から主張しない限り、主婦(主夫)の休業損害を案内してくれないことがあります。また、案内があっても自賠責基準の低い水準にとどまっていることもあります。提示を受ける前に、請求できる項目を確認しておくことをおすすめします。
Q. 家族のために家事は休まず続けました。それでも請求できますか
実際に家事を続けていた場合でも、痛みをこらえながら本来より低い水準でこなしていたのであれば、支障の程度に応じた休業損害が認められる余地があります。諦める前にご相談ください。
Q. 一人暮らしでも主婦の休業損害は認められますか
主婦(主夫)の休業損害は「家族のための家事労働」に対する賠償のため、ご自身のためだけの家事では原則として認められにくいのが実情です。もっとも、同居家族の状況等によって判断が分かれる場合もありますので、個別にご相談ください。
まとめ — 保険会社任せにしないでください
主婦(主夫)の休業損害は、日額約1万1,000円×休業日数と、決して小さくない金額になり得る項目です。それにもかかわらず、保険会社から案内されなかったり、低い基準で計算されたりすることが少なくありません。適正な賠償は当然の権利です。示談の前に、計算方法と金額が適正か、一度ご確認ください。



